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第34回日本障がい者ダーツ選手権大会

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盛り上がった熱戦の末、男女とも昨年の覇者が連覇を達成!

 2018年1月28日、34回目を迎えた日本障がい者ダーツ選手権が東京都杉並区の浴風会内コミュニティーホールにて開催された。
 ダーツの起源は、いまから500年以上も昔のこと。バラ戦争(1455年)の戦場に駆り出されたイギリス軍兵士たちが戦いの余暇に武器であった弓矢を使って特定の的を目がけて矢を射った。その腕を競い合ったのがルーツとされている。現在のように手で投げて点数を競うスタイルの競技となってからも、100 年以上が経過する歴史あるスポーツだ。国内では、公益社団法人日本ダーツ協会が各種の競技会や講習会を開催するなど、普及に尽力している。日本障がい者ダーツ選手権大会も、その取り組みのひとつである。

 そんな中で行われた本大会は、男子シングルス・女子シングルスの両部門、さらに6人のトッププロ選手と大会参加選手がペアを組んで行うエキシビションマッチも行われ、会場は大いに盛り上がった。

 ダーツ競技にはいくつかのルールがあるが、本大会は301点ゲームによるトーナメント方式。各選手は持ち点の301点からスタートし、得点する度に持ち点を減らしていき、先に0点としたプレイヤーが勝ち上がる。ここで重要なのは、ピッタリ0点にしなくてはいけないこと。つまり、残り10点で11点以上の的に当ててしまったら無効となり、次の1投で再挑戦しなくてはいけない。最後の1投を決めやすくするために逆算しながら試合を進めていくのだ。リードしながら、最後の1投でもたついていると、思わぬ逆転をくらうこともあり、それがダーツの奥深さでもある。

車いすの選手のボードは低い位置になっているが、ルール上はまったく同じ

 さて、男子シングルスは、昨年の覇者・小澤祐太選手が順当に勝ち上がり、準決勝で森田憲行選手と対戦。序盤は森田選手が高得点を挙げてリードしたものの、小澤選手が冷静な試合運びでジワジワと追い詰める。終盤、森田選手にミスが出て、小澤選手が逆転勝ちで決勝にコマを進めた。一方の決勝に勝ち上がったのは、相原良規選手。昨年準優勝の飯島勝三選手など強豪を倒して勝ち上がってきた勢いのある選手だ。連覇目前の小澤選手の戦いぶりが注目されたが、連覇の重圧をまったく感じさせず、序盤から冷静な試合運びを見せる。相原選手のスコアが伸びない中、序盤から40点超えのハイスコアを連発して相原選手を突き放し、余裕をもって小澤選手が7投でフィニッシュ。残り8点で迎えた1投は、見事に4のダブル(※4点の枠のダブルリングに的を射ること)で鮮やかに連覇を決めた。

男子シングルスで優勝した小澤祐太選手。冷静な試合運びが印象に残った

 女子シングルスは、やはり連覇を目指している吉本朱美選手が準決勝で小川有香選手と対戦。好調の小川選手が大きくリードしたものの、序盤にミスが目立った吉本選手が後半にビッグプレーを放って大逆転で決勝へ。一方の決勝に進んだのは昨年3位の実力者・阿部紀子選手で好試合が期待された。序盤はやや阿部選手が優勢だったものの、後半に強い吉本選手が徐々に挽回。阿部選手もよく粘ったが、10投目を決められずにオーバー。逆に吉本選手が残り20点を一発で射止めて息詰まる接戦を制して勝利した。今大会は、男女ともに連覇という結果で熱戦に終止符が打たれた。

女子シングルで連覇を果たした吉本朱美選手。終盤での鮮やかな逆転が見事

 試合後には、西野秀典プロ(神奈川)、大野貴志プロ(岐阜)、浦野栄樹プロ(愛知)、永原康雄プロ(東京)、城宏昌プロ(神奈川)、阿部澄子プロ(神奈川)が出場選手とペアを組んでエキシビションマッチを行い、プロのハイレベルな技術とそれに劣らぬ好プレーを見せた選手もいて、観衆から喝采を浴びていた。

 ダーツというスポーツは、障害者と健常者がまったく同一のルールで対戦することができ、高齢者にも楽しみやすいため、老若男女の垣根のないスポーツだ。

エキシビションでハイレベルな技術を見せてくれた6人のプロ選手たち
大会の上位入賞者たち

(文責:TOKYO障スポ・ナビ取材班)

男子シングルス結果
優勝 小澤祐太
準優勝 相原良規
3位 森田憲行、堀内俊作
女子シングルス結果
優勝 吉本朱美
準優勝 阿部紀子
3位 小川有香、杉山晃子