大会・イベントレポート詳細
ゴールボール アジア・パシフィック選手権大会
ゴールボール日本代表チーム
スタッフ 増田 徹
2015年11月5 日~11月13 日に中国の杭州で開催された” 2015 IBSA Goalball Asia/Pacific Championships & 2016 Paralympic Games Goalball Qualification Tounament”に全日本男子チームのベンチスタッフとして参加してきました。今回、大会の模様や結果等を報告させていただきます。
大会概要
今大会は、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック大会へのアジア/オセアニア地区予選も兼ねており、男女共に優勝すれば出場権を獲得する大会です。日本は、男女共にこれまで出場枠をまだ獲得していないため今大会がリオに向けての最後の挑戦でした。
男子はエントリーの時点で6カ国でしたが、モンゴルがキャンセルして5カ国(中国、イラン、日本、韓国、オーストラリア)。女子は5カ国(中国、日本、オーストラリア、タイ、モンゴル)が出場しました。男女共に総当たりの予選リーグを行い、上位4カ国が決勝トーナメント(準決勝、決勝)に進んで順位を決定しました。
試合会場は、国家盲人門球訓練所というゴールボール競技専用の会場で行われました。この施設は中国のほとんどのナショナルチームの選手が生活しており、毎日練習をしている場所でもあります。小さい湖の中にある島全体がこの施設になっており、我々は「ゴールボールアイランド」と呼んでいました。
実はこの施設、外国人選手団も宿泊、食事が可能なのですが、今回なぜか警備の都合上ということで宿泊のみ会場からバスで30分離れた障がい者の訓練施設を提供されました。そのため、朝と夕食後だけに出るバスを利用し、日中はアイランドで過ごして、夜の便で寝に帰るような日々を送り、試合の合間は、アイランドの宿泊施設の部屋を使用して過ごしていました。
これまでにはない経験だったので精神面や体調面の調整が難しかったのですが、スタッフ全員で協力をして試合に臨みました。各国も大変だったと思います。
男子大会成績
予選リーグ
対 韓国 7-5 ○
前半1-3とリードされながらも後半徐々に追いつき見事に逆転勝利。幸先のよいスタートをきりました。
対 中国 6-7 ●
決勝トーナメントで必ずもう一度行なう相手。前半3-2で折り返しましたが、後半同点に追いつかれ、最後は痛いペナルティーで逆転負け。負けはしたが、次に繋がる試合でした。
対 オーストラリア 8-7 ○
これまで予選連敗中の相手に順当に勝ちましたが、できればもう少し引き離したかったです。
対 イラン 4-7 ●
取りたかった先取点を取られ前半1-3。点差は開いたが、相手のことも分析することができた試合でした。
予選結果 予選リーグ 2勝2敗 3位通過
決勝トーナメント
準決勝
対 中国 2-11 ●
リオに行くために最初の大きな山。開始早々に先取点を取られ劣勢に。前半1-6で折り返し後半に全てを託しましたが、結果2-11で敗退。この時点でリオの道が閉ざされました。
三位決定戦
対 韓国 3-8 ●
初戦に勝った相手だったので3位は死守したかったですが、韓国のうまい攻撃に前半からリードされ最終的に引き離された内容でした。
女子大会成績
予選リーグ
対 モンゴル 10-0 ○
前半でコールド勝ちし、幸先の良いスタートをきりました。
対 タイ 4-0 ○
先取点をとり前半を3-0で折返し追加点を取って順当に2勝目をあげました。
対 オーストラリア 2-0 ○
予選でのひとつの山場であるオーストラリアでしたが、前半リードをとりそのまま逃げ切りました。
対 中国 1-3●
前半1-2とリードされての後半。1点を取られ引き離されてしまいましたが、次につながる内容の試合でした。
予選結果 予選リーグ 3勝1敗 2位 通過
決勝トーナメント
準決勝
対 オーストラリア 9-1 ○
リオに向けての負けられない試合でしたが、前半から3-0と勢いに乗り、そのまま後半も得点を重ね決勝戦に弾みのつく試合になりました。
決勝
対 中国 1-0 ○
前半、安達選手が先取点を取り、その1点を守りきり勝利。ロンドンパラリンピックの決勝戦を再現したような内容でした。
大会総括
結果的に女子がアテネパラリンピックから4大会連続出場権を獲得し、ロンドンパラリンピックに引き続き2大会連続の金メダルを狙うチャンスも生まれました。
今大会期間中、選手、スタッフは出場権を獲得しなければならないという大きなプレッシャー等様々な局面に遭遇しました。その中での出場権獲得だったので優勝を決めた瞬間は、日本チーム全員が喜びを爆発させました。
男子は、準決勝前日のミーティングで、一人ひとりリオへの意気込みを伝えあい、選手スタッフ全員でリオに行くんだという気持ちを一つにして臨みましたが、中国の攻撃を抑えることができずに準決勝で涙をのみました。今大会は、先取点を取られるケースが多かったですが、全員が気持ちを切らすことなく戦い、逆転で勝つという粘りを見せましたが、今回もパラリンピック出場のためにある大きな壁に穴を開ける事はできませんでした。
ロンドン以降の4年間、男女ともに強化を続け、男子は前回出場できなかった世界選手権を予選会で勝ち抜き出場し、今年5月に韓国で行われたIBSAの大会で強豪国が並ぶ中で予選リーグを突破するなど確実に力をつけてきましたが、中国やイラン、韓国を相手にとアジアで超えるためには、まだ足りない面が残っています。それらをもう一度検証し、2020年東京パラリンピックは主催国なので既に出場権を得ていますが、次回の世界選手権で優勝し、出場権を自力で勝ち取るという目標を立てて努力していきたいと思っています。
女子は、実力的にも紙一重で、どの国が勝ってもおかしくない状況は変わっていません。リオパラリンピックでは、ひとりの選手が力で得点を獲ることが難しいので、これまで以上に緻密な作戦を立て全員で点を取りにいくこと。また、伝統のディフェンス力が勝利への鍵です。今大会の予選リーグは1位通過の中国が5失点。それに対し日本は3失点と上回っています。今大会はディフェンス力が安定していたので勝てたと思います。 今後も更にディフェンス力の強化をし、攻撃と総合力で戦ってリオの決勝戦に立てるよう進めていきます。
私は、男子のベンチスタッフとして同行させていただきました。ベンチでは、自分たちの攻撃と相手の攻撃の軌跡を記録し、自分たちの攻撃ができているかと相手の攻撃の傾向を出し、ヘッドコーチと選手に伝えました。5月の大会に引き続き男子ベンチに入り、結果は最高のものではありませんでしたが、毎試合緊迫した状況の中に選手や他のスタッフと一緒にいることができたことに感謝してます。
また今大会は、ベンチスタッフ以外にもたくさんのスタッフが入り、男女隔てなくAll JAPANで戦いました。スタッフもチームのためにそれぞれの役割りを一生懸命尽くしていただきました。また、大会期間中結果等をSMSを利用して、たくさんの方々から応援メッセージ等をいただきました。本当に多くの人たちに支えられ、日本チームが戦わせていただいているんだと心より感謝しています。
今後もみなさんの応援に良い結果で応えられるように努力していきますので今後もよろしくお願いいたします。