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パリ2024パラリンピック競技大会 ~見どころ紹介~

いよいよ開幕! 注目競技や選手を紹介!

 4年に一度開かれる世界最高峰の障害者スポーツの競技大会「パリ2024パラリンピック競技大会(以下、パリ2024大会)」が8月28日から9月8日まで、フランス・パリで開催される。実施競技は東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)と同じ22競技で、180を超える国・地域から選手約4,400人が参加する。今回は、活躍が期待される注目の日本人選手を中心に、大会の見どころを紹介しよう。

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パラリンピックとは?

 パラリンピックはオリンピック終了後に同じ都市で開催される。肢体不自由、視覚障害、知的障害などの選手が参加する。また、競技をするうえで安全性や公平性を期すため、必要に応じて用具やルールを工夫し、障害の種類や程度によってクラス分けを行う。オリンピックにはないパラリンピック独自の競技として、ボッチャ(※1)とゴールボール(※2)がある。

(※1)重度の脳性まひなど四肢に障害がある選手による競技。ジャックボールと呼ばれる白い目標球に、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールをいかに近づけるかを競う。

(※2)視覚に障害がある選手が男女別に行う対戦型チームスポーツ。音源が入ったボールを互いに投げ合い得点を競う。

パリの名所が競技会場に!

 パリ2024大会は世界遺産や名所が競技の舞台になっている点が魅力のひとつだ。たとえば、8月28日の開会式はシャンゼリゼ通りとコンコルド広場で行われ、ブラインドフットボールはエッフェル塔のふもと、馬術はヴェルサイユ宮殿、車いすフェンシングとテコンドーはグラン・パレで開催される。歴史的建造物が点在するパリならではのロケーションを活かした競技会場にも注目してみよう。

メダル有力! 注目の日本人アスリート

 日本代表選手団の選手数は175人で(8月22日時点)、アテネ2004パラリンピック競技大会(以下、アテネ2004大会)の163人を上回り、海外開催のパラリンピックで史上最多となった。田口亜希(たぐちあき)団長のもと、旗手を水泳の西田杏(にしだあん)選手と、陸上の石山大輝(いしやまだいき)選手が務める。

 メダル獲得の有力選手として注目されるのが、昨年、史上最年少の17歳1カ月で制した全仏オープンを含め、グランドスラム4勝の車いすテニス男子の小田凱人(おだときと)選手(東海理化)だ。しなやかかつ力強い多彩なショットを武器に、初出場のパラリンピックでも頂点を狙う。女子の上地結衣(かみじゆい)選手(三井住友銀行)は4度目の出場。オランダ勢ら強敵と対峙し、悲願の金メダル獲得を目指す。

 バドミントンの男子車いすWH2の梶原大暉(かじわらだいき)選手(ダイハツ工業)は、東京2020大会以降の公式戦で無敗を継続中。「3年前より見違えるほど強くなっていると思う」と語るなど、2連覇への意欲をのぞかせる。女子車いすWH1の里見紗李奈(さとみさりな)選手(NTT都市開発)は、東京2020大会に続く単複2冠を目指す。
 自転車女子の杉浦佳子(すぎうらけいこ)選手(総合メディカル)は、昨年の世界選手権で2種目を制するなど好調を維持。東京2020大会でもロード2種目(C1-C3)で金メダルを獲得ており、53歳で迎えるパリ2024大会でもさらなる飛躍に期待したい。

 水泳男子の山口尚秀(やまぐちなおひで)選手(四国ガス)は、知的障害の100m平泳ぎ(SB14)で自らが持つ世界記録の更新と2連覇に挑戦する。
 団体競技では、2大会連続で銅メダル獲得の車いすラグビー日本代表が金メダルに挑む。キャプテンの池透暢(いけゆきのぶ)選手(日興アセットマネジメント)は「過去最高の状態であると自負している。一番輝くところを狙いたい」と、意気込みを語る。

初出場の若手選手の活躍にも期待

 パラリンピックに初めて臨む若手選手の活躍にも期待がかかる。ボッチャ日本代表「火ノ玉JAPAN」のキャプテンを務める21歳の内田峻介(うちだしゅんすけ)選手(大阪体育大)は、2022年の世界選手権のBC4個人で金メダルを獲得。その後のクラス分けでパラリンピックの出場資格を満たさない障害(NE)と判定されたが、今年の再度のクラス分けでBC4クラスに認められ、日本代表に内定した。パリでは持ち味の力強い投球で頂点を狙う。

 先天的に左脚に障害がある水泳男子の川渕大耀(かわぶちたいよう)選手(神奈川県立岸根高)は、日本代表選手団最年少の15歳。水泳は幼稚園で始め、中学に入り頭角を現すと、昨年の杭州2022アジアパラ競技大会では男子400m自由形(S9)で金メダルを獲得。伸び盛りの新鋭がパラリンピックでどんな泳ぎを見せるのか、楽しみだ。
 視覚に障害がある陸上男子の福永凌太(ふくながりょうた)選手(大阪体育大大学院)は、25歳。大学時代までは十種競技などの選手として活躍し、その後パラ陸上に転向。今年5月の世界選手権の男子400m(T13)では銀メダルを獲得した。走幅跳でもアジア記録を保持しており、パリ2024大会では複数種目でタイトルが期待される。

東京都ゆかりのアスリートも出場

 東京都の「東京ゆかりパラアスリート」認定選手(令和6年度)にも注目したい。
 卓球男子の岩渕幸洋(いわぶちこうよう)選手(協和キリン)とトライアスロン男子の木村潤平(きむらじゅんぺい)選手(Challenge Active Foundation)は、3度目の代表に。木村選手はアテネ2024大会からロンドン2012パラリンピック競技大会までの3大会は水泳の日本代表選手として出場しており、それぞれ豊富な経験を活かして、初の表彰台を目指す。
 車いすフェンシングの加納慎太郎(かのうしんたろう)選手(LINEヤフー)は、男子エペ団体・フルーレ団体のメンバーに選出され、個人戦(カテゴリーA)でもエペ、フルーレ、サーブルの3種目にエントリー予定。スピーディーで正確な剣さばきは必見だ。

 ボッチャの一戸彩音(いちのえあやね)選手(スタイル・エッジ)は、パラリンピック初出場。パリ2024大会の最終予選となる国際大会で有田正行(ありたまさゆき)選手(電通デジタル)とペアを組んだBC3ペア戦で準優勝を果たし、出場切符をつかんだ。その精度の高い投球と頭脳プレーで観客を魅了してくれそうだ。

4年に一度の大舞台で限界に挑むパラアスリートたちを、ぜひ応援しよう!

パリ2024パラリンピック競技大会 注目選手一覧


小田 凱人 選手
(車いすテニス)

上地 結衣 選手
(車いすテニス)

加納 慎太郎 選手
(車いすフェンシング)

池 透暢 選手
(車いすラグビー)

杉浦 佳子 選手
(自転車)

川渕 大耀 選手
(水泳)

西田 杏 選手
(水泳)

山口 尚秀 選手
(水泳)

岩渕 幸洋 選手
(卓球)

木村 潤平 選手
(トライアスロン)

梶原 大暉 選手
(バドミントン)

里見 紗李奈 選手
(バドミントン)

有田 正行 選手
(ボッチャ)

一戸 彩音 選手
(ボッチャ)

内田 峻介 選手
(ボッチャ)

石山 大輝 選手
(陸上)

福永 凌太 選手
(陸上)

選手写真提供:日本パラリンピック委員会

(取材・文/MA SPORTS、撮影/植原義晴)