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みんなで楽しむスポーツ教室(中野区)

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 中野区では、東京2020大会を見据え、区民の障害者理解を促進するとともに、多様性を尊重した誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組んでいる。その一環で、障害のある人もない人も気軽にスポーツを楽しめる場として、「みんなで楽しむスポーツ教室」を開催している。この教室は、知的障害者向けの「日中の部」と、身体障害者向けの「夜間の部」があり、それぞれ1年に9回実施されている。このうち、今回は、1月13日(土)に中野体育館で行われた夜間の部の模様を取材した。
 この日の教室では、バドミントンと卓球が行われた。参加者のうち、聴覚障害のある参加者もいたが、手話通訳ができるスタッフもいるので、コミュニケーションに問題はない。指導に当たるのは、区内在住のスポーツ経験のある講師。指導とはいっても、技術指導などを細かく行うのではなく、レクリエーション的にスポーツを楽しむことを大事にしている。
 参加者が揃い、まずは準備運動からスタート。気軽な教室とはいっても、準備運動を怠るとケガの原因となるので、入念に体をほぐすようにしっかりと指導がされていた。
 この日は卓球の参加者が1名のみで、指導者とマンツーマンで打ち合っていたが、なかなかのレベル。一方のバドミントン組はカードを使って組分けを行い、健常者と障害者がペアとなって2つのコートに分かれ、さっそくゲームを行っていた。試合形式なのでみんな楽しそう。サーブがどうしても入らない人には、コツをアドバイスするなど、競技をより楽しめるようになるための指導が行われていた。
 バドミントンを見ていて“いいな”と思ったのは、障害のある人とない人がダブルスを組んで楽しめること。互いに声を掛け合ったり、「ドンマイ!」とはげましたりして、自然にコミュニケーションが生まれる。それが、ゲームの良さだろう。勝敗がかかっているので真剣ムードにはなるが、それはそれで楽しいはず。
 休憩を経て、バドミントン組は組分けをやり直して再戦。さっきまで敵だった同士が今度は仲間になる。この点もスポーツの面白さだろう。一方の卓球組は、散らばったボールを集めては、ひたすら打ち込む。ストイックにも見えるが、さっきは返せなかったボールが返せるようになるなど、手応えを感じているのか、ときおり笑顔も見られた。
 あっという間に2時間が終了。さわやかに体を動かした参加者たちには、充実感があった。障害のある人もない人も、ともに楽しんで笑って、汗をかいていた。本格的な競技や大会とはまた違った、スポーツの醍醐味が垣間見えた。

即席ペアながら、次第に息も合ってきて試合はなかなか白熱
正確なスローに加え、主将としてもチームを牽引した杉村英孝 手話通訳ができるスタッフと手話で会話する参加者
序盤に出場して、冷静なプレーを見せた藤井友里子 和気あいあいとしたムードのなか、参加者全員が楽しく過ごせる貴重な場。参加費は無料で事前予約なども不要だ
後半にスーパースローを連発し、勝利に導いた廣瀬隆喜 「卓球組は真剣な表情でラリーを続ける