どんなスポーツ?
ルールと見どころ
全盲選手の投球術とハイレベルな守備に注目!
グランドソフトボールは視覚障害者がプレーする、野球に似た競技です。ハンドボールと似た大きなボールを使用し、投手はボールを転がし、打者はバットで打ちます。選手は1チーム10人。男女の区分はありません。通常の野球のポジションに加えて、右遊撃手という独自のポジションがあります。
10人のうち、全盲の選手を4人以上含めるのがルールです。ほかは弱視の選手で、大会によっては晴眼者を含める場合もあります。全盲の選手は、アイシェード(目隠し)と赤い布の腕章をつけて競技を行います。
投手は必ず全盲の選手が務めます。言葉での指示は禁じられ、捕手は手を叩くことによって投手にストライクゾーンを伝えます。ハイレベルな大会では、変化球や剛速球を駆使した投球術も見どころです。
走塁では、ランナーコーチが手を叩くことによって塁の方向を指示します。また、全盲選手同士が衝突する事故を避けるために、走塁用ベースと守備用ベースが分かれていることも特徴です。
ボールが動いている間に全盲選手が捕球した場合、ゴロであってもアウトが宣告されます。外野にゴロが転がってもヒットとは断定できないので、走者がヒットと判断し進塁してしまい、併殺になることもあります。このルールがグランドソフトボールの奥深さでもあり、守備の上手な全盲選手の活躍で、ヒット性の当たりがアウトになってしまうことも珍しくありません。つまり、守備力の高い全盲選手の存在がチーム力を押し上げるという点が、グランドソフトボール独自の面白さともいえます。
また、マウンドの半径1.5mの円内に送球されたときは試合停止(ボールデッド)となります。全盲選手がボールを持ったまま、どこに投げていいかわからず、その間に走者が走り放題になることを避けるための特別なルールです。
競技の歴史
1994年に「グランドソフトボール」の名称が誕生
1933年1月、横浜で行われた第9回全国盲学校学生競技大会において、東京盲学校と横浜訓盲院との盲人野球試合が行われた記録があり、これがわが国における初めての視覚障害者の野球対抗戦とされています。
やがて1951年に、第1回全国盲学校野球大会が大阪府立盲学校で開催されました。グランドソフトボール自体のルーツは不明なのですが、昭和初期からは盲学校で野球が競技として実施されていたようです。その後、社会福祉法人日本盲人会連合が1971年に全国盲社会人野球大会を開催し、1973年には第9回全国身体障害者スポーツ大会にも盲人野球競技として採用されました。
1994年には「グランドソフトボール」の名称が生まれ、1998年7月に全日本グランドソフトボール連盟が結成。2000年10月7日に第1回全日本グランドソフトボール選手権大会が開催されて現在に至っています。
投手は全盲の選手が務める。捕手の声だけを頼りに狙いを定めるが、ときには驚くほどの剛速球を投げる選手もいる
選手同士の衝突を避けるために、守備用のベースと離れた位置に走者用のベースが置かれている
全盲の選手はアイシェードを装着してプレーする。大会によっては、弱視や晴眼者の選手がアイシェードを装着することで全盲選手同様にプレー可能な場合も
競技で使われるバットとボール
2018年1月4日