地域のクラブ紹介詳細

バスケットボール

NO EXCUSE

2021/02/26 掲載
2019年の天皇杯第47回日本車いすバスケットボール選手権大会で集合写真におさまるメンバーのみなさん(写真:エックスワン)

2002年創設の車いすバスケットボールチーム。東京都車いすバスケットボール選手権大会は16連覇中、日本車いすバスケットボール選手権大会は過去に4度、準優勝しています。選手13名、スタッフ9名が一丸となり、日本一を目指しています。

お問い合わせ

公式ホームページの連絡フォームからご連絡ください
http://www.noexcuse.jp/mailform/contact.html

公式ホームページ
http://www.noexcuse.jp/

クラブ紹介

活動場所
水元総合スポーツセンター(葛飾区)、有明スポーツセンター(江東区)、江東区スポーツ会館(江東区)、 ※そのほか、千葉県でも練習しています
活動日時

火曜・木曜の夜、および土曜
※現在は新型コロナウイルス感染症対策のため、チーム内の選手のみで練習中(2月26日時点)。見学者受け入れ可能な状況になりましたら、ぜひお越しください!お問合せお待ちしております!

会費の有無

社会人36,000円
学生24,000円
スタッフ2,000円
※年齢、性別、障害の有無を問わず、選手・スタッフ募集中です!

活動紹介

 元日本代表で、男子日本代表監督を務める及川(おいかわ)晋(しん)平(ぺい)氏が2002年に創設した「NO EXCUSE」。チーム名には「言い訳をしない」という意味がある。過酷な環境のなかでも、一枚の花びらが集まってひとつの花を咲かせているチームのロゴマークのように、スタッフと選手全員が結束して、たくましく次の目標に向かっていく――、そんな“日本一のチームワーク”で頂点を目指している。

チームロゴ 一枚の花びらが集まって力強く咲く花がチームロゴになっている

 今季のダブルキャプテンのひとり、湯浅剛(ゆあさつよし)選手は「このチームの持ち味は“団結力”です」と言い切る。それはコートの上のみならず、チーム運営においても同じで、課題克服のために年齢やキャリアに関係なく、誰もが意見を発信し、都度ミーティングを開いて解決に努める基盤が備わっている。スタッフも奉仕するわけではなく、チームの一員として同じ目線で活動に参加している点も特徴だ。広報を担当する伊藤真吾(いとうしんご)さんは、「このチームには、根気強く話し合うひたむきさがあります。目標に向かって努力し続ける選手たちなので、我々スタッフもモチベーションを高く持って携わることができます」と、チームの魅力を語る。

 プレー面では、他のチームと比べて圧倒的な高さがない分、緻密に練った戦略と連係プレーで挑むスタイルが光る。日本選手権では4度、決勝の舞台に上がっており、アグレッシブかつスマートな戦術で、観客を楽しませている。

ダブルキャプテンのひとりとしてチームをまとめる湯浅剛選手 ダブルキャプテンのひとりとしてチームをまとめる湯浅剛選手
大切にしているのは「対話」。選手とスタッフが常に声を掛け合い、課題をクリアにしていく 大切にしているのは「対話」。選手とスタッフが常に声を掛け合い、課題をクリアにしていく

 湯浅選手自身は大学時代まで野球に打ち込んでいたが、22歳の時にスキー中の事故により、車いす生活になった。湯浅選手の障害による持ち点は「1.5」※で、日本代表強化指定選手に選ばれたこともある。湯浅選手によれば、「1点台は障害が重いクラスですが、先天性の選手は身体の使い方がうまい。自分のような中途障害者はどうしてもスペックで劣ってしまう」ため、加入当初は苦労したという。それでもチームの主力選手として、また日本代表強化指定選手になるまで成長できたのは、「同じ持ち点の先輩が親身になって技術やノウハウを指導してくれたから」。湯浅選手は「今度は自分が次の世代に伝えていく番です」と話し、後進の指導や選手・スタッフのリクルート活動にも力を入れたいとしている。


※持ち点について
選手には障害の程度に応じた持ち点が定められており、コート上の5人の持ち点の合計は14.0点以内と決まっている。持ち点は0.5点刻みで1.0点から4.5点までの8段階あり、数字が小さいほど障害の重いクラスとなる。

教育現場での体験学習開催など、車いすバスケットボールを通じた社会貢献やパラスポーツの理解増進への貢献にも力を入れている 教育現場での体験学習開催など、車いすバスケットボールを通じた社会貢献やパラスポーツの理解増進への貢献にも力を入れている

 個人の可能性を最大限に引き出すチームづくりは、創設者の及川氏が目指していたものだ。現在、及川氏は代表チームの活動に専念するためNO EXCUSEを離れているが、その意思は大嶋義昭(おおしまよしあき)ヘッドコーチをはじめ後輩たちに引き継がれ、より強固なものになっている。

チーム練習でメンバーに話しかける大嶋義昭ヘッドコーチ(中央) チーム練習でメンバーに話しかける大嶋義昭ヘッドコーチ(中央)

 チーム唯一の女子選手である湯浅冴華(ゆあささえか)選手も、「このチームのメンバーでよかった」と語る。幼い娘を持つ母親でもある冴華選手は、出産後にチームに復帰した。ブランクがあることに不安を感じていたが、チームメイトが温かく迎え入れてくれたという。「実は、女子選手は出産を機に競技を辞める人が多いんです。私もなかなか自由が利かないけれど、NO EXCUSEは“できないから仕方ない”ではなく、“チームとして何をすればいいか”を考えて、復帰する土台を作ってくれました。本当に感謝していますし、車いすバスケットボール界として、女子選手の将来の選択肢がこうして増えればいいなと思っています」

湯浅冴華選手は「女子選手としての強みを生かしてチーム勝利に貢献したい」と話す 湯浅冴華選手は「女子選手としての強みを生かしてチーム勝利に貢献したい」と話す

 日本選手権など国内の試合では、女子選手の強化の一環として男子チームの一員として登録、出場することができる。女子選手が試合に出る際はチームの持ち点から1.5点差し引かれるため、女子選手の起用はチーム戦略のカギとなる。冴華選手は「私も自分の得意とするプレーを追求して、勝利に貢献したいですね」と、チームへの想いを語ってくれた。

 今季は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、昨年3月後半から練習中止を余儀なくされた。活動自粛期間後の6月からは、看護師や理学療法士などの医療系資格を持つスタッフを中心にコロナ対策チームを組み、徹底した健康管理を行う中で、感染症対策として3つの小グループに分けて練習をスタート。現在は、感染拡大状況を見定めながら、適時グループ練習や全体練習を行っている。「感染者数が多い東京都でも、細心の注意を払うことで、パラスポーツのクラブチームだって運営を継続できる。そうしたモデルケースになれば」と湯浅選手は語る。

コロナ禍の中、少ない人数でも質の高い練習を展開する コロナ禍の中、少ない人数でも質の高い練習を展開する
基礎練習を大切にするNO EXCUSE。ダッシュも全力で取り組む 基礎練習を大切にするNO EXCUSE。ダッシュも全力で取り組む

 大会やイベントが軒並み中止となり、モチベーション維持が難しい中、「Play for Fun」をスローガンにリスタートを切ったNO EXCUSE。再び全員で体育館に集まれる喜びをかみしめつつ、現在は次なる目標に向けて強化を図っているところだ。「日本選手権での優勝、この目標は変わりません。全員プレーで絶対にトーナメントを勝ち上がります!」と湯浅選手は力強く語る。

 国内最高峰の大会で、“日本一のチームワーク”を武器に勝ち進む姿が見られる日を、楽しみに待ちたい。

日本選手権制覇を目標に、厳しい練習に臨む 日本選手権制覇を目標に、厳しい練習に臨む

(取材・文/MA SPORTS、写真提供:NO EXCUSE)