「卓球バレー」は文字通り、「卓球」と「バレーボール」がミックスされた対戦型のユニバーサルスポーツ。1チーム6人で、相手チームと卓球台を挟んで座り、卓球台から5.7㎝上げたネットの下を金属片が入ったピンポン球を板のラケットで相手コートに3打以内に返球する。1セット15点の3セットマッチ、2セット先取のチームが勝ちとなる。選手は車いすや椅子に座った状態でプレーするため、年齢や性別、障害の有無や程度を問わず、誰もが主体的にチャレンジすることができる。
地域のクラブ紹介詳細
バレーボール
東京北卓球バレー同好会
東京都北区を中心に活動する卓球バレーのクラブチームで、2018年11月に発足。片麻痺などの障害がある人がスポーツを通じて体力をつけ、仲間との交流を深め、社会復帰につなげることを目的としています。
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福田彰(代表)
クラブ紹介
毎週木曜の13:00~15:00
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年会費500円(スポーツ保険料代として)
活動紹介
東京北卓球バレー同好会は、代表の福田彰(ふくだあきら)さんらが中心となり2018年11月に発足。現在は、選手とスタッフを合わせて38人が登録している。年齢は20代から80代まで幅広く、和気あいあいとした雰囲気で練習に取り組んでいる。チーム結成のきっかけは、脳出血による右半身まひながら水泳の選手として東京都障害者総合スポーツセンターのプールで汗を流していた福田さんが、友人から「卓球バレーを見に行こう」と誘われ、大会を見学したことだったという。
「最初は卓球バレーのことを知らなくて、『なにそれ?』という感じでした。でも、実際に観てみると、自分より重度の障害がある選手が真剣に、でもとてもにこやかにプレーしていて、『わぁ、これいいな!』といい意味で衝撃を受けたんです」
そこからすぐに地元で卓球バレーができる環境を調べたが、東京都には管轄団体がなく、自分で新たにチームを作ることにした福田さん。知り合いに積極的に声をかけ、「卓球バレー同好会」を結成した。今年、令和に年号が変わったことを機に、気持ち新たに現在の「東京北卓球バレー同好会」に名称変更した。
「全国大会に出よう!」を合言葉に、熱心に練習を積んできたメンバーたち。実は今年、その努力が実を結んだ。
舞台は今年10月の全国障害者スポーツ大会「いきいき茨城ゆめ大会」。卓球バレーはオープン競技種目のひとつで、6つのオープン競技種目のなかでは最多となる約430人の選手がエントリーし、大会を支える審判や役員、ボランティアも220人を超えるなど大いに盛り上がった。そのなかで、東京北卓球バレー同好会「Bチーム」が、レベル別に分かれている3クラスのうち、親睦を目的とする「いばラッキークラス」で見事準優勝を果たしたのだ。
片麻痺や脊髄損傷などの選手で構成した「Bチーム」。決勝では地元茨城県のチームにフルセットの接戦の末に敗れたが、16チーム中2位という好成績をおさめ、チームは歓喜に包まれた。「決勝は惜しくも敗れてしまったけれど、全力を尽くせた。それが大事」と、コーチを務めた福田さんは充実した表情で振り返る。
11月下旬の練習に取材に訪れると、メンバーが笑顔で出迎えてくれた。この日は17人が参加した。ラケットはそれぞれの障害に応じて持ちやすくするため規定の範囲内であれば加工が可能だといい、よく見ると板に傾斜がついていたり、角に丸みをつけていたりする。ボールの軌道に変化をつけることもできるそうだ。
チーム結成時からのメンバーである菅沢良江(すがさわよしえ)選手によると、バレーボールと同様にチームの采配と連携プレーが重要で、戦術のひとつとしてクイック攻撃も使用するという。実際に体験をさせてもらうと、見た目以上にボールのスピードと攻守の入れ替わりが速く、正確に味方にパスをつなぐ技術とラリーを続ける高い集中力が必要なことがわかる。座った状態で誰もが気軽に参加できるが、競技性も高い。この二面性がプレーヤーを虜にするのかもしれない。
菅沢さんは「私たちはいつ体調を崩すかわからない。でも、毎週木曜日の練習は絶対に出席しようって、気持ちの張り合いになっているのよ」と話す。そして、「初めてプレーする人も多いけど、すぐに仲良くなれるのがこの競技の魅力。知り合いの輪が広がるし、もっとたくさんの人に知ってもらいたいです」と笑顔で続ける。
チームの次なる目標は、来年の全国大会で複数チームをエントリーし、優勝を果たすこと。飛躍の1年となった今年の経験を活かして、次なるステージへと進んでいく。
(取材・文/MA SPORTS、撮影/植原義晴)